有名な話がある。
あの誰でも知ってるくらい有名な、広隆寺の弥勒像は(昭和中頃)、指が壊れたことがある。
仏像を見に来ていた、とある大学生が(京大生)、
あまりの弥勒菩薩の美しさに抱きついた!…という話である。
ハッと我に返る大学生!
「あぁ、僕はなんて罪深いことをしてしまったんだ!」
気づけば、きつく抱擁した時に思わず折れた指が手の中に、
あたかも…逃れられない罪の象徴のように、そこにある。
逃げる大学生。
そして、その大罪から逃れるように、逃走途中で思い人(想い仏像)の指を投げ捨ててしまう。
ポイッ!
結局、その、大学生は出頭したか、何かで警察に捕まったのだが、困ったのは、何処に指を捨てたか全くわからなかったこと。
警察は威信をかけて逃走経路をしらみつぶしに探したらしい…。
で、みつかった。
見つけたお巡りさんは表彰され、哀れ、大学生は裁判にかけられる。
行き詰まる法廷の判決。
無表情に判決を述べる裁判官。
「判決結果…省略…弥勒菩薩が美しすぎたのが罪である。よって無罪!」
なんて、粋な判決!
というわけで、無罪になったそうです。
めでたしめでたし。
しかしこれは実際にあった話なのです。びっくりですねー。
もっとも、後にこの学生が雑誌の取材に語ったところによれば、
弥勒菩薩が美しいからそうしたというわけではなく、
思ったより汚れているうえに、なんか側まで近寄れたからなんていうことを答えているらしい。
ガッカリだなぁ。
…しかし、それ以来、お寺では弥勒像の周りに柵を作った為、近寄れなくなったそうである。
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