石の寄木作り
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石の寄木作り


ローマの博物館に行くと、あるはあるは…石の人間の頭部の彫刻がどこ にいっても、たくさん展示してあります。
そして、それが、結構面白いんですよ。
みんな苦みばしっているというか…。
かなり、リアルに作ってあります。
…こんな風につくったら、依頼主も怒るだろう…みたいのもあって結構見ごた えがあります。

日本にも肖像彫刻は多少ありますが、大体といいますか、ほとんどは木で作っ てあります。
まぁ、仏像ってほとんど木製ですから当然です。
こっちでは、石なんですね。
石の加工って木材よりかたくて、めんどくさいと思うのですが大理石で作って あるようです。
単純に木材より石材の方が後に残りやすいということもありますが、石の文化 なんだなと実感させられます。

石と木と…材料が違えば、当然、作り方も違うはずなんですが…コレがけっこ う、似てるところがあってびっくりします。
仏像で、寄木作りという、構造のものがあります。
平安後期ぐらいから始まり、鎌倉には主流になった木の寄せ方です。

寄木に対して、一木作りというものがあります。
これは、頭から等身足までを一つの木材から彫りだすものです。
それに対して、寄木は、細かい材を合わせて、彫り出すやり方です。
比較的、小さな材からも大きな像をつくれるため、平安時代後に主流となっ ていくのですが、ローマの石の彫刻も同じように石を合わせておりました。

…いままで、全部、完全に丸彫りだと思っていたのですが…ちがうんですねぇ。
もちろん、完全に一つの石材から彫り出してあるモノもあるのですが、むしろ、 そういうものは少ないようでした。
意外に小さなものでも、鼻や耳を別材で剥いであって、驚きました。

だって、剥ぐっていうのは結構難しい作業なんですよ。
材と材を合わせる時、完全に面を合わせるというのは、本当に難しい。
木材だったら、カンナで結構簡単に合わせられるんですが、石の場合は…う〜ん。
剥ぎ目がどうしても、目立ちます。

寄木のように、材をあわせてつくると、無駄なく合理的に大きい像でも作れる のですが、反面、寄せた面が目立つという問題が出ます。
別材が腕の場合は、袖のところで見えにくいように剥いだり、頭だったら襟で剥 いだり…苦労してました。

ちなみに、通常、仏像の場合、割首をする場合、首の根元でするのですが、鎌 倉時代の仏像の中で幾つかは割り首をするときに、首の根元ではなく、襟元で わざわざしているものがあります。
これは、割首の痕跡が残るのを嫌ったものです。
でも、ローマの石像の場合、剥ぎ目を隠しているもところもありながら、あると ころでは、しょうがないだろう!
とばかりに堂々と、出しているところもあって…。
…腕とかはごまかせますが、鼻は、ちょっときついかなぁ…と。
くっきり、鼻のところで合わせ目があるんですから!
正直、他のところが、かなり繊細に作られているだけに、この点だけが解せませんでした.。
剥ぎ面をどうごまかすかというのが、一つの技術なのですが、技術以前に、仕上げの感覚が木と石でちょっと違うのかも?と感じたところでした。

…僕は石を彫ったことがないんで、感覚的にはわからないのですが、どうなんでしょうか?
違うものなんでしょうかねぇ?
それとも、材をケチっただけなんでしょうか? わからないです。

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