仏像修復ってどんな仕事?
漆

【仏像修復ってどんな仕事?】


仏像netTop-Page>修理の話>仏像修復ってどんな仕事?
INDEX 
修理の話


前の話

次の話


スポンサード リンク


仏像仏教の基礎
修理の話


仏像修復ってどんな仕事?

仏像って壊れるのです。…ほっといても。 …何にもしなくても、壊れていくんですよ。
形あるものは、土に帰る…仏像も例外ではありません。
もっとも、管理がよければ、千年以上もつものもありますが…。
実用品としては、これくらい耐久年数が長いものも、そうそう無いですね。


■ 文化財修復にはいろいろな専門分野がある

修理の仕事はそれぞれの専門分野に細かく分かれています。
絵画の修復をする人が仏像の修復もするということは、まず、ありません。
彫刻は彫刻。
絵画は絵画。遺跡出土品は遺跡出土品専門の人がいます。
また絵画でいえば、日本画と洋画ではまったく違う分野となります。
彫刻修復で言えば、主に神像に仏像の修理が中心の仕事になるでしょうか。
それら仏像系以外には、お面、楽器、民具など、基本的に木造製品を多く扱います。
他の分野の修復に比べて、何でも屋的な要素が多く、彫刻から、大工仕事、彩色、漆、漆箔…浅く広い知識と技術が求められます。

また、なんであっても修復をする上での1つの大きなポイントに、オリジナルの保存と維持があるのですが、 特に仏像修復ではこの点があいまいであることが多いようです。
絵画などの修復の場合、破れてなくなったところに加筆するということはまず行われません。
これをすると、その絵画そのものの価値が下がるからです。
オリジナルに傷がついたと判断されます。

ですが、仏像の場合には、亡失した腕や、手や、天衣を補うことはざらですし、 彩色や漆の塗りなおしもよく行われています。(仏具屋修理などといわれることもあります。)
これは文化財の修理の考え方からいくと、かなり悪い修理と言うことになります。
ですが、持ち主の側から言わせれば(主に寺院ですね)新しい、綺麗な仏像のほうがいいわけです。
ここにギャップが生じます。


■ 文化財修復の中で仏像修復が持つ矛盾点

もし、仏像も絵画と同じように商品経済の中で流通するようなものだったら、オリジナルというのが最重要視 されたでしょうが、持ち主にっては(この場合、寺院)オリジナルの価値は二の次で、とりあえず、仏像という実用品がほしいわけです。
拝むのに、手やら顔やらがなくて、ぼろぼろだと見栄えがしないわけです。

文化財の保存修復はオリジナルな部分を最優先して保存、維持していくという建前です。
ぼろぼろだったら、ぼろぼろのままに直せという、結構厳しい考え方です。
壊れた車を修理すように、仏像を修理するという考え方とは根本的に違います。

オリジナルの重視しなきゃ!…でもやっぱり綺麗にしたい!
二者択一です。
しかし…どちらの顔も立てたいという日本的気分もあるわけです。
持ち主が美術館だったら、こういう心配をする必要も無く、オリジナル重視の修理をできますが、持ち主が寺院の場合、 そういうわけで、オリジナルも重要視しつつ、新しく新補(無くなった手や足を作る事)もするという修理方針になることが多いかと思います。


@ copyright@Webmaster tukiou All rights Reserved.