玉眼改造仏
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玉眼改造仏

仏像の眼は技法的に大きく2つに分かれます。
1つは、彫眼。
もう一つは玉眼です。

彫眼はごく普通に、刃物で眼を彫るやり方です。
それに対し玉眼は、頭の内側をくりぬいて、水晶製の「義眼」を入れるやり方であります。
眼に、潤いがでて、生きているような雰囲気が出てくる、かなり技巧的な方法です。
彫眼に比べて、派手で、見栄えもするためか、鎌倉時代以降爆発的に普及しました。

玉眼は平安時代末に発明?されたとされています。
現存する最古の玉眼像は 奈良の長岳寺 阿弥陀三尊(1151年)でありますが、玉眼が普及したのは鎌倉に入ってからとなります。
ですから、仏像の年代を推定する上で、玉眼でしたら、まあ、大体、鎌倉時代以降と推測することができます。

しかし…!
その後、あまりに玉眼が流行ったため、玉眼じゃなければ仏像じゃない!時代遅れ!格好悪い!と思われたためか、後世に彫眼の像を玉眼に改造するという、眼科医真っ青の大改造が頻繁に行われました。

つまり、鎌倉時代以前の元々、玉眼像でない仏像までも無理矢理、玉眼を嵌め込むという事をしたわけです。
そういうわけで、平安時代の像なのに、なぜか玉眼をつけているというような年代不詳の仏像も現れたりしてきます。

これは良いか悪いかと言うより、信仰する仏さんにお金をかけたいというのは人情で、理解できるのですが、残念ながら、像によっては、玉眼の付け方が乱雑なために、むしろ人相が悪くなっている例も少なからずあります。

 彫眼に目の形通りに穴を開ければ良いだろうというのは間違ってまして、構造が違う以上、うまく、違和感なく仕上げるのは難しいうえに、仏師が結構手を抜いて作業していることが多いんですよね。
 初めに作った仏師は気合い入れて作るんですが、後世に頼まれ仕事でこういう玉眼を入れている際には、大体、手を抜いています。テンションが下がるんでしょうか?
 もっとも、手を抜かれないで仕事されたら、それが後世の玉眼か分からなくなってしまう可能性もありますけれど。どちらが良いのかはよく分からないです。

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