ああ、流行が去った後…流行の残滓を見る侘びしさ!
古本屋で「キン肉マン」を見たときの気分…。
テレビで「あの人は今」を見た時の気分…。
部屋を片づけてたら、「たまごっち」を見つけてしまったときの気分…。
そんな、ちょっと侘びしさの漂う話を1つ。
皆さん玉眼ってご存じですか?
仏像の眼は技法的に大きく2つに分かれます。
1つは、
彫眼。
もう一つは
玉眼です。
彫眼はごく普通に、刃物で眼を彫るやり方です。
それに対し玉眼は、頭の内側をくりぬいて、
水晶製の「義眼」を入れるやり方であります。
眼に、潤いがでて、生きているような雰囲気が出てくる、かなり技巧的な方法でございます。
彫眼に比べて、派手で、見栄えもするためか、
鎌倉時代以降爆発的に普及しました。
玉眼は平安時代末に発明?されたとされています。
現存する最古の玉眼像は 奈良の
長岳寺 阿弥陀三尊でありますが、玉眼が普及したのは鎌倉に入ってからとなります。
ですから、仏像の年代を推定する上で、玉眼でしたら、まあ、大体、鎌倉時代以降と推測することができます。
しかし…!
またしても江戸時代が出てきます。
江戸時代…
玉眼が流行った時期がありました。
彫眼の像を玉眼に改造するという、眼科医真っ青の大改造が頻繁に行われました。
流行の仕掛け人は仏具屋だったかもしれません…。
仏具屋:「和尚様!最近の流行は、やっぱり、玉眼ですよ!あの、憂いを含んだ色っぽい眼!やっぱり仏像の眼は艶っぽくなくっちゃ!」
坊主:「そうかのぉ…?」
仏具屋:「そうですよ!隣村の極楽寺(仮)でも玉眼に変えたって話ですよ!」
坊主:「なに!ほんとかの?」
仏具屋:「いやあ、美人になったって檀家衆も大喜びだって!」
檀家衆:「極楽寺なんかに負けてられませんよ!和尚様!」
仏具屋:「今は玉眼がナウいんです!」
坊主:「ナウいか!そうじゃの、うちも玉眼にしてもらおうかの。」
という会話があったかどうか…多分あったような気がしますが。
そんなわけで、
鎌倉時代以前の古い像であっても、玉眼の像が存在していたりします。
ただ、像の頭部内ぐりから玉眼をするのではなく、多くの場合、像表面から、眼周囲を彫り込むため改造玉眼だと判明します。
さて、時は流れ現代…
修復家:「和尚様!こんな改造玉眼の像…今はオリジナル優先が流行ですから、元の彫眼に戻すべきですよ!」
坊主:「そうかのぉ…?」
…。
ちゃんちゃん。