サビ下地と泥下地のの違いなどを書きたいと思います。
まず、サビ下地。
鎌倉時代、室町ぐらいまで主流だった下地といっていいかと思います。
コレは、漆に砥の粉の粉をまぜたもので、とにかく堅牢です。
水にも、熱にも…多分、酸やアルカリにも強いと思われます。
弱いとしたら、たぶん、主成分がウルシなだけに、光、紫外線ぐらいですかね。
長期間、紫外線にあたっていると漆は分解してしまうようです。
そんなわけですから、長い時間がたっても、結構、表面を維持することが可能
です。
…ただし、手間はかかるは…、時間はかかるは…、漆をつかうだけに、費用も
かかるのが難点。
次に、泥下地。
コレは室町ぐらいから近世ぐらいまでに主流だった下地です。
胡粉にニカワを混ぜたもので、とにかく、コストと時間がかからない上に、量
産に向いているという利点があります。
ただし、水にはものすごく弱い…。
だって、膠ですからね。少しでも水を吸うと、ボロボロとふやけたり、はがれ
たりします。
そんなわけで、長持ちはあまり期待できない下地です。
(もっとも、風通しのいい、湿気の少ないところに置いておけば、長持ちしま
すが、それでも、耐久年数は圧倒的に
ウルシの方が上ですよね。)
また、この泥下地、マガイ下地といったりもします。
サビ下地のマガイものという意味なんでしょうかね?多分。
胡粉と膠だけだと、色は白いままですが、これにわざわざ、墨を少し入れて、
灰色にしたものもあります。
コレなんかは、本当に色をサビ下地に似せたまがい物という感じもします。
ちょっと、姑息ですが…。
(聞いた話ですが…多分、江戸時代ぐらいの話)
昔、外国人が日本に来た時、熱や水とかへの耐久性が高い日本の漆製品に驚い
たらしく、盛んに輸入したらしいんですけど、途中からえらく質が落ちて、つ
いでに評判も落ちたという話があるようです。
初めは、サビ下地の強固な製品だったものが、売れるに従い、効率を高める為
に泥下地にかえた結果、水とかへの耐久性が異様に下がってしまった為、つい
でに評判も落ちてしまったわけです。
…今でもありそうな、笑えない話です。
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